はてしなきひらひら

尾ひれが沢山付いてるけれども、言いたいことは、多分シンプル。

紙震楼雑記

  一、

  大伯母の、形見の扇の夢を見た。
  扇は、大きな白い、襟巻きをした白蛇になって傅いていた。
  扇の襟は白いダリアの花のようで、蕊を押しやり開かれた、顎はゆっくりと、一枚の大きな舌の様に突き出され、ぱたりと閉じた。欠伸であった。

  自分は到頭観念してこれに従う事にして、眠る事にした。
  8の字に束ねられた胴を枕に横たわる自分を、腰掛けた視線が眺めていた。

  其処で漸く目が覚めた。九〇度、角度が変わって自分は寝転がっていた。起き上がると、振り子時計が止まっていた。
時刻は五時三二分だった。

                                             九十五