はてしないひらひら

尾ひれは沢山付いてるけれども、言いたいことは、多分シンプル。

ヤンデレ研究(3)――「みーまー」

 

 漸く、ここからが本論の様な気がするが、しかし肩肘張ってやろうと思うと失敗しそうなので、あんまり意気込まないように気を付けたい。

 

 先の空虚な器という話は、入間人間の「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」に於いては「みーくん」という名前で登場する。

 これは、(例の如く詳細は省くが)ヒロインの彼氏であるが、果たしてそれは空位のアカウントとして存在する。

 本作はこの「みーくん」を、主人公が勤めようとして、その度に七転八倒、葛藤するお話である。

 

 因みに、本作は以前にも何処かで触れたが、2000年代後半に於いて、恐らくはラノベで「ヤンデレ」というジャンルに割り振られた最初の作品である。

 何がヤンデレなのか、と筆者が考える切っ掛けになった事は、敢えて言うまでもない事かも知れないが、一応、筆者が何かヤンデレとは……と考える際には、本作が念頭にある事は、述べて置く必要があると思い余談だが記した。

 

 ヤンデレ者は、この空位のアカウント――空虚な器と自身とを結びつけることでヤンデレ者となる。

 ポンペイの死霊であればその胸型に注がれた愛を糧に、武士であれば友情を自身の美学に注ぎ込んで、ヤンデレ者となる。「みーまー」では、主人公の様々の感情のチャンポンが「みーくん」に注がれる。すると、それまで活動していなかったアカウントである「みーくん」が動き出し、そのフォロワーである「まーちゃん」も序に活動を再開する。

 蓋し、ヤンデレとはおままごと、「プレイ」なのであるが、このプレイに必要なコスチューム……空虚な器は、必ずしも、既成のものである必要はなく、何となれば自由に用途に合わせて「捨てアカ」宜しく作って仕舞えばいいのである。

 

 この事については、また次回。

 

 (つづく)